2013年12月13日金曜日

新高速乗合バス

国土交通省自動車局が制定し、2013年8月に開始された、それまでの「高速乗合バス」と「高速ツアーバス」に代わる新しい制度。

従来、高速バスには、高速乗合バス(高速路線バス)と高速ツアーバスの2業態があり、高速乗合バスは路線バス会社により、高速ツアーバスは旅行会社が委託した貸切バス会社により、それぞれ運行が行われていた。高速ツアーバスは、高速乗合バスと比較して法規制が緩かったことから、運行コストが安く済み、それに伴って運賃も安価であった。しかし、高速ツアーバスの運行業者に対しては、安全管理の杜撰さや労働条件に関する法令違反の疑いが度々指摘されていた。

2012年4月に、苛酷な労働条件が関係した居眠り運転により、関越自動車道で高速ツアーバスが事故を起こし、乗客7名が死亡する惨事となった。事故後の調査により、当該バスを運行していた業者が28件の法令違反をしていたことが明らかになるとともに、他の業者もほぼ全てが労働基準法に違反していたことから、安全上の問題があるとされ、高速ツアーバス制度が抜本的に見直されることとなった。国土交通省は従来から制度改正を行う方針であったが、この事故を受けて制度改正への動きを加速させ、「高速・貸切バスの安全・安心回復プラン」を策定して新高速乗合バス制度の検討にあたった。

新高速乗合バス制度の導入により、高速ツアーバスは廃止となり、高速ツアーバスを運行していた業者は新高速乗合バスへ移行するか、あるいは事業から撤退することとなった。新高速乗合バス制度では、従来の高速乗合バス制度を基礎として、高速ツアーバスの長所であった価格設定の柔軟さなどが取り入れられた。また、高速ツアーバスと同様に、貸切バス事業者も高速乗合バスの運行を受託できることとされたが、法令遵守などに関して、より厳しい基準が設けられている。

関連サイト:
関越自動車道における高速ツアーバス事故を受けた安全性向上の取り組み - 国土交通省