2014年1月17日金曜日

こうのとりのゆりかご

熊本県熊本市の慈恵病院が設置運営している、何らかの事情で育てることができない赤ちゃんを、親が病院に一時的に預ける、あるいは遺棄するために用いられる保育器のこと。いわゆる「赤ちゃんポスト」のうち、2014年1月現在、日本国内において唯一運用されている例である。

「こうのとりのゆりかご」は、赤ちゃんの命を救うという目的のもと、2007年に熊本市の許可を受けて設置された。生後2週間以内の新生児または乳児のみを受け入れ対象としている。受け入れられた赤ちゃんは健康状態の確認が済んだのち、県内の乳児院に移され、さらに里子に出されたり、児童養護施設に移されたりする。親は名前を明らかにする必要はなく、病院側も親の匿名性を守るための配慮を行っている。

「こうのとりのゆりかご」の利用状況は、報告書の形で定期的に公開されており、利用目的としては、戸籍に入れたくないという理由や、生活の困窮、世間体、未婚などの理由が多く見られた。また、障害児が遺棄された事例や、相続財産の着服のために用いられた事例も確認された。2013年5月に公開された報告書によると、「こうのとりのゆりかご」の6年間の累計利用者数は約100人であった。

なお、慈恵病院ではフリーダイヤルでの電話相談も行っており、2012年度には1000件を超える相談があったと発表されている。相談の結果、198人が「こうのとりのゆりかご」を使用せずに、自分自身で育てるという選択をしたとされる。

関連サイト:
慈恵病院