2014年1月22日水曜日

古式捕鯨

読み方:こしきほげい

日本における伝統的な捕鯨の手法の総称。その中でも特に、「網取り式捕鯨」と呼ばれる手法を指すことが多い。

広義の古式捕鯨は有史以前から行われてきたといわれており、初期は沿岸での追い込み漁や、銛や槍などでクジラを突いて仕留める「突き取り式捕鯨」が行われてきたことが記録されている。1677年に、現在の和歌山県太地町で和田頼治(太地角右衛門)が網取り式捕鯨を開発すると、江戸時代から明治時代にかけてこの漁法が全国各地に広がり、盛んに行われるようになった。なお、網取り式捕鯨の発祥の地である和歌山県太地町は「古式捕鯨発祥の地」として知られている。

狭義の古式捕鯨である網取り式捕鯨は、数十隻の船団でクジラを網に追い込み、銛などで突いて仕留める漁法のことである。それぞれの船には「網船」や「勢子船」など異なる役割が与えられており、陸上にはクジラの位置を確認し、狼煙や旗で船団に伝える、「山見」と呼ばれる人員が配置された。網取り式捕鯨を行っている様子は、太地町立くじらの博物館所蔵の「古式捕鯨蒔絵」に記録されている。

網取り式捕鯨は、多数の漁師を動員する必要があり、経営が難しかったことなどから、19世紀前半をピークとして次第に衰退し、捕鯨砲と捕鯨船によるノルウェー式捕鯨に取って代わられることとなった。現在、古式捕鯨の伝統は途絶えているが、関連する施設の跡が史跡に指定されていたり、道具が博物館や資料館などに収蔵されている例がある。