2014年1月22日水曜日

ボン・ガイドライン

別名:遺伝資源へのアクセスとその利用から生じる利益の公正・衡平な配分に関するボン・ガイドライン
英語:Bonn Guideline
英語:Bonn Guidelines
英語:Bonn Guidelines on Access to Genetic Resources and Fair and Equitable Sharing of the Benefits Arising out of their Utilization

2002年にオランダのハーグで行われた生物多様性条約第6回締約国会議(COP6)で採択された、生物多様性条約に基づく遺伝資源へのアクセスと、それに伴う利益の配分について定めたガイドライン。

ボン・ガイドラインは、ABS(Access to genetic resources and Benefit Sharing)、すなわち「遺伝資源へのアクセスによって生じた利益の公平な配分」が国際問題となったことを背景として定められた。具体的には、先進国の企業などが発展途上国の遺伝資源を利用し、医薬品などの製品を開発したり、特許を申請したりして利益を上げているにもかかわらず、発展途上国にはその利益が還元されないという構造があったことが問題視されていた。その是正のために、発展途上国側の提案により策定されたのがボン・ガイドラインであった。

ボン・ガイドラインでは、PIC(Prior Informed Consent)やMAT(Mutually Agreed Terms)と呼ばれる、遺伝資源利用に際しての合意形成に関して、一定の基準が定められ、ABSに関する基本的な概念が明文化された形となった。しかし、ボン・ガイドラインはあくまで任意のガイドラインであり、法的拘束力を持つものではなかった。

その後、発展途上国を中心に、新たな枠組みを必要とする声が高まったが、複数の論点に関して対立の構図が続き、実現したのはボン・ガイドライン採択の9年後にあたる、2011年の生物多様性条約10回締約国会議(COP10)であった。COP10では法的拘束力を持つ「名古屋議定書」が採択されたが、その基本的な理念は、ボン・ガイドラインをそのまま踏襲する形となっている。

関連サイト:
ボン・ガイドライン - 財団法人バイオインダストリー協会生物資源総合研究所