2014年2月10日月曜日

緩和ケア

読み方:かんわケア
別名:緩和医療
別名:パリアティブケア
別名:ホスピスケア
英語:palliative care

生命を脅かす疾患の患者などに対して、QOL(生活の質)を向上させるために苦痛を緩和させるケアを行うこと。世界保健機関(WHO)の2002年の定義では、緩和ケアの対象には患者だけでなくその家族も含まれている。また、疾患に伴う苦痛だけではなく、「身体的、心理的、社会的あるいはスピリチュアルな問題」もケアの対象として明記されている。

身体的な緩和ケアの具体的手段としては、モルヒネなどオピオイド化合物(医療用麻薬)を含む、鎮痛剤の投与による除痛や、胸水・腹水や褥瘡などの管理、栄養管理などを挙げることができる。精神的な緩和ケアの具体的手段としては、病名告知に際しての精神的ケアや、患者の家族への精神的ケアなどを挙げることができる。宗教や信仰に関連したスピリチュアルケアも重視されている。

緩和ケアを専門とした緩和ケア病棟が設けられている医療機関もあり、入院医療費と食事療養費は健康保険の適用対象となっている。また、日本看護協会は緩和ケア分野での認定看護師制度を定めており、日本緩和医療学会はがん疼痛、消化器症状、呼吸器症状など個別の事例に対する緩和ケアのガイドラインを制定している。厚生労働省は「がん対策推進基本計画」において、緩和ケアを重点的課題の一つとして位置づけている。

「緩和ケア」の語は、「ホスピス」とほぼ同義であるが、「ホスピス」は治療が行われる場所を指すこともある。また、「緩和ケア」は「ターミナルケア(終末期医療)」ともほぼ同義の語として用いられることがあるが、区別して用いられることもある。ターミナルケアとは緩和ケアの要素を含むものの、対象は終末期の患者に限られている。2014年にWHOおよび世界緩和ケア連合(WPCA)が作成した「終末期緩和ケアの世界地図」では、全世界でターミナルケアが必要な終末期患者は約2000万人、緩和ケアが必要な患者は約4000万人に及ぶと推算されている。

関連サイト:
WHO Definition of Palliative Care - WHO
緩和ケア - 厚生労働省
日本緩和医療学会