2020年5月7日木曜日

ニッチ

英語:niche

ニッチとは、ニッチの意味

ニッチとは、隙間のことで、転じて経済用語では隙間産業を意味する言葉として使われている。ニッチ産業やニッチ市場、ニッチ戦略などの言い方がある。ニッチはこの他にも一般的用語では人の能力に応じた適所や得意分野、建築用語では壁のくぼみ、地学用語では岩などのくぼみ、生物学用語では生態的地位など幅広い意味を持つ言葉である。

ニッチの語源

ニッチの語源となっているのは英語の niche で、ニッチもしくはニッチェと発音される。英語のニッチには分野別に数種類の意味がある。建築用語においては、花瓶や彫刻などを設置する目的で作られた壁のくぼみ、地学用語では岩のくぼみや割れ目、生物学用語では生態系の中におけるある生物の生態的地位などを意味する言葉である。一般的にニッチというときには、広く認知されていないものや一部の人にのみ興味を抱かれるものを指す。ものの名前の前に「ニッチな」とつけて表現されることが多く、形容詞的に用いられる。たとえば、ニッチな人というと風変わりな人、マニアックな人という意味になり、ニッチな趣味というと風変わりな趣味、マニアックな趣味という意味である。

風変わり、マニアックといってもネガティブな意味ではなく、良い意味で個性的というニュアンスで使われることが多い。ニッチの元々の意味は、西洋建築における壁のくぼみであった。壁や柱を円形もしくは四角くくりぬき、その部分に花瓶や彫刻などを置いて飾れるようにした飾り棚のことである。20世紀前半に生物学用語において生態的地位という意味合いで使われるようになった。生態的地位とは、生存競争によって適応する特有の生息場所のことをいう。ニッチには、競争者のいない隙間という意味があることから、経済用語として用いられるときは隙間という意味を持つ。

「ニッチ」の語は経済用語、マーケティング用語として用いられている

ニッチという言葉が経済用語やマーケティング用語として用いられる場合、大資本が手につけなかったような隙間市場を意味する。ニッチ市場は英語で niche market と表記され、「ニッチマーケット」といわれることもある。市場の中において一般的ではなく、客層や需要が特定の方面に限られている小規模な市場という意味である。こうした小規模な市場は収益性が低く、需要の規模がそれほど大きくなく潜在的な需要の開拓が必要であることから、大企業は参入したがらない。

新しい市場や小規模な市場は投資に見合った収益が得られるとは限らないため、大企業は参入に消極的になりがちだ。大企業は収益性が大きい大規模な市場で事業を行いたいという考えが根本にあるからである。顧客のニーズには多様性があるが、大企業は小規模なニーズの一つひとつまで網羅して応えることはそれほど多くはない。市場シェアが最も多い企業(マーケットリーダー)は大多数に受け入れられ必要とされるニーズを狙う。2番手、3番手の企業も大多数のニーズに応えるために競争をする。その結果、少数のニーズは市場に残ることになるのである。結果として、潜在的な需要はあっても大企業が手をつけてこなかった隙間市場が生まれる。また、単価は高めであってもお金を払う顧客がいる産業もニッチの中には含まれる。

そうした隙間市場に中小企業が生き残りをかけて参入する。大企業が手をつけなかった分野や需要の開拓がなされていない分野に着目して戦略的に狙うことをニッチ戦略もしくはニッチマーケティングという。こうした隙間市場に目をつけ、いち早く参入した企業は他社と競争することなしに有利に事業を展開することができる。ニッチ戦略によって提供されるサービスや商品はニッチ商品、ニッチサービスと呼ばれる。また、こうした商品やサービスを提供するビジネスは、ニッチ産業、ニッチビジネスといわれるのである。ニッチ戦略で成功している企業は少なくない。たとえば、コンビニエンスストアはスーパーや既存の小売店よりは価格は高いものの、営業時間の長さや立地条件などをカバーすることにより成長を遂げている。