2020年10月13日火曜日

イニシアチブ

英語:initiative
別名:イニシアティブ

「イニシアチブ」とは、「主導すること・主導権・先導・率先・自ら提唱した方針や戦略」などを意味する表現である。「集団を率いる」あるいは「相手の上に立つ」という意味・ニュアンスを含む。

主導権を握って先導する・全体を率いることを「イニシアチブを取る」あるいは「イニシアチブを握る」のように表現する。

「イニシアチブ」という言葉は、ビジネスシーンや行政分野で用いられることが多い。日常会話などの一般的な文脈では「率先」「先導」などの表現が用いられれることの方が多い。

「イニシアチブ」を英語でいうと

「イニシアチブ」は英語の initiative に直接由来するカタカナ語である。英語の initiative は、主に「主導権」「構想」「やる気」「計画」などの意味で用いられる。

英語の initiative は「協力を目的として自分が率先する」といったポジティブな意味合いが中心であり、基本的にポジティブな言葉である。

イニシアチブの語の使い方や例文

イニシアチブはカタカナ語であり、ビジネス用語でもある。日常会話で使われることは決して多いとは言えないものの、逆に仕事を進めて行く行く上での、会議や営業におけるビジネスシーンでは、イニシアチブという語が発話される機会は発生しやすい。イニシアチブは名詞のため、「イニシアチブをとる」や「イニシアチブを握る」など、動詞と組み合わせて使う。決して「あの人はイニシアチブだ」という使い方はしない。「イニシアチブをとる」も「イニシアチブを握る」も、どちらも「主導権を握る」という意味として使うことができ、言い回しとして明確な使い分けは無い。例文として挙げると「次の会議では、こちらがイニシアチブをとれるかどうかが会社の今後の立ち位置を左右する。」、「まさかこの業界がイニシアチブを握ることになるとは思いもよらなかった。」という使い方ができる。このように、イニシアチブという語は個人においてもグループ単位においても用いることができる。

イニシアチブとは主導権という意味の他に「リードする、先頭に立って導く」という意味で使われることがある。その場合は「イニシアチブを発揮する」という表現を使うことが多い。「イニシアチブを発揮することができれば、営業成績ももっとのびるかもしれない。」という風である。主導権を握るという意味合いで用いられる場合は自分と相手との間に力関係が存在するが、リードするという意味で用いる場合は人との関係は含まれない。よって、リードすると言う意味での用い方が英語の initiative に最も近いものとなる。

イニシアチブの語の類語・言い換え表現

イニシアチブの類語には主導・発議・リーダーシップ・統率・指揮などがある。「リーダーシップ」にも組織を率いるという意味がある。イニシアチブは組織の中でもトップの人に求められるものであるのに対し、リーダーシップは多くの人が身に着ける必要のある素質である。イニシアチブは行動を指すことが多いが、リーダーシップは能力のことを指すという点でも違いがある。「統率力」にもグループをまとめ率いるという意味がある。統率力はビジネスにおいて同じ目的を有する人に対して用いられる。イニシアチブには自分とは違う意見を持っている人に対し、自分の意見を取り入れさせるという意味合いが含まれるので、使い分け方に明確な差がある。統率力は営業部長やプロジェクトマネージャーなど組織内のチームのトップに立つ人に求められる能力である。「指揮」は、組織を導いてまとめるという点では同じであるが、人を指導して動かすという意味が含まれる。イニシアチブには指導するという考えが含まれることはない。どれも明確な使い分けが存在するが、ビジネスシーンでよく耳にする言葉であるため、明確な違いを理解しておくことが重要である。

ちなみに、イニシアチブとイニシアティブの違いはなく、全く同じ意味で使われる。どちらが正解でどちらが間違いということは無く、どちらを使っても良い。イニシアティブの方がより英語の発音に近い。外国籍の人が多い職場ならばイニシアティブの方が聞き取りやすい可能性がある。

ビジネス分野以外におけるイニシアチブの語義

イニシアチブという語は、一般的に浸透している言葉ではなく、日常的にイニシアチブという語を使う人は少ないと言えるが、まれにビジネス以外でも用いられることがある。主導権を持つという意味で、家庭で使われる場合がある。「うちの家庭では、夫が(妻が)イニシアチブをとっている」という風に使う。この使い方はカタカナ語として日本人だけが使う表現であり、英語圏の人には意味が伝わることはない。これには文化の違いが関係しているものと思われる。日本においては亭主関白という言葉が存在するように、家庭内において上下関係をはっきりさせる傾向にあるようである。英語圏の人に多いのはレディーファーストのような、相手を立てる文化が浸透している。

他の使い方として、スポーツや遊びで使われることもある。優勢に立っている側が「イニシアチブを握っている」という使い方をする。イニシアチブを握れる人を育てることを目的としたゲームのことをイニシアチブゲームと呼ぶ。イニシアチブゲームとは少人数のチームに分かれて、それぞれの能力と力を合わせて設定された課題や障害を解決していくゲームである。子どもは遊びやスポーツ、勉強など、様々な経験を通して自分の中にある能力を引き出していく。イニシアチブゲームによってリーダーシップを育てるとともに、チームワーク、知恵も共に培われるので注目されつつある。大人であっても、コミュニケーション能力が不足しがちな新入社員の社員研修で行われることもある。