2020年10月13日火曜日

ステロイド

英語:steroid

ステロイドとは、ステロイドの意味

ステロイドとは、構造内にステロイド骨格を有する化合物の総称であり、ほとんどの生物が体内で生合成でき、作用の違いによって、いくつかに分類されている。多種多様な作用を持っており、生命の維持活動に欠かせない物質のことを意味する。医療現場におけるステロイドとは、ステロイド系抗炎症薬のことを指していることが多い。ステロイド系抗炎症薬とは、副腎で合成されるステロイドホルモンを配合したものであり、炎症を抑えるときに使用される。わかりやすくいうと、体内で合成されるホルモンを、抗炎症などの治療に使用するために人工的に配合した医薬品のことである。英語では、steroid と表記され、ステロイド系抗炎症薬のことは、SAIDs(Steroidal Anti-Inflammatory Drugs) と表記される。

ステロイド系抗炎症薬には、炎症を抑える効果や、免疫を抑制する効果がある。これらの作用から、アレルギー性疾患や、炎症性疾患などに使われる。副作用も多様であり、主な副作用として、易感染性、高血糖、高コレステロール、筋力低下、満月様顔貌(ムーンフェイス)、骨粗しょう症、消化性潰瘍など、軽症のものから、重症になってしまうものまである。使用している量や期間、体質など、様々な要因によって、起こる副作用が異なるので、注意が必要である。投与方法は内服、注射、外用があり、使用部位や症状、また、重症度などによって、用いる方法は異なる。内服や注射で投与するときには、全身性の副作用が起きやすいが、塗り薬などの外用で使用する場合は、局所性の副作用が起きやすいといわれている。

ステロイドの種類と使用方法

ステロイドは、副腎皮質ホルモンを元につくられた医薬品の総称であり、その種類は多く、投与方法も内服、注射、外用がある。内服とは、医薬品を経口投与での使用方法であり、錠剤、カプセル、散剤など、多くの剤形が販売されている。症状の程度や、患者の年齢、医薬品の半減期、力価などから使用されるステロイドは異なり、作用の出方や副作用の出現など、状況を見ながら減量や変更が行われる。半減期とは、医薬品の効果が半減する時間のことをいい、この時間が短いほど体内から早く排出され、長いほど体内に留まる。力価とは、医薬品の効果を十分に発揮するために必要な医薬品の量から、考えられる薬の強さを表しているものである。ステロイドの場合、ヒドロコルチゾンの力価を1として他のステロイドの力価が計算されている。内服で用いられるステロイドは、短時間作用型であるヒドロコルチゾンをはじめ、中時間作用型のプレドニゾロン、長時間作用型のデキサメタゾンなどがあり、それぞれ半減期が異なる。同じ力価のステロイドであっても、半減期の長短により、効果の現れ方などが異なる場合もある。

外用剤は、皮膚科や耳鼻科、眼科などで処方されることが多く、塗り薬や吸入剤などの剤形がある。皮膚科や眼科領域で用いられることが多いステロイドの塗り薬は、最も強いストロンゲストから、ベリーストロング、ストロング、ミディアム、ウィークの5段階に分類されており、症状の程度や、使用部位によって、使われる医薬品は異なる。塗り薬以外にも、点眼や点鼻、吸入剤や噴霧薬など、さまざまなタイプのステロイドがあり、目的に応じて使用される。

注射で使われるステロイドは、内服や外用で使用するよりも作用の発現が早いため、疾患の急性期や、高用量で投与するときに使用される。

ステロイドの副作用

ステロイドは、効果が高い医薬品であるが、多くの副作用が存在することが知られている。内服や注射で使用した場合、全身症状の副作用が出ることが多く、顔面に脂肪が多くなり、丸くなってしまうムーンフェイスや、筋の萎縮から筋力低下を発症してしまうこともある。ほかにも、易感染症、高血糖、高血圧、高コレステロール、骨粗しょう症などが知られている。外用剤を使用した場合の副作用としては、色素脱失や皮膚の萎縮、感染症や刺激感などがある。また、吸入剤や噴霧薬でステロイドを用いた場合、かすれ声や、口腔カンジダなどの副作用が起こることがある。

副作用の内容によっては、ステロイドの使用開始から副作用が出現しやすい時期があり、おおよその目安とされている。投与開始数時間後から大量に使用した場合、高血糖や不整脈が見られ、量に関わらない副作用としては不眠やうつ症状、食欲亢進が見られることが多い。数日後から中等量以上において、高血圧や高血糖、精神障害などが見られ、1~2か月後から感染症や骨粗しょう症、ムーンフェイスや消化性潰瘍などが起こりやすい。3か月以上経つと使用している量に関わらず、感染症やムーンフェイス、動脈硬化や白内障、緑内障などが認められることがある。ただし、これはあくまで起こりやすい時期と副作用の目安であり、人によっては量や時期に関わらず副作用が出てしまう人や、逆に副作用が出にくい人もいるので、一概にステロイドを使用すると必ず副作用が出るというわけではない。

ステロイドによるあせもやニキビへの効果

ステロイドをあせもやニキビなどに使用する際は、抗炎症作用を期待して使われることが多い。ステロイドは根本的な治療には向かないため、炎症を抑えて、かゆみや赤みを抑えるために使われる。あかぎれの場合にも、抗炎症作用を期待して使われるが、あかぎれには、悪化する前のステロイドが効果的とされている。

ステロイド配合の塗り薬などを使用した場合の副作用は、局所的なものであり、全身的な副作用は起こりにくいとされているが、皮膚の脱色やニキビなどが起こるとされており、ニキビを治療しているのに新しいニキビが出来てしまう、などといったことも起こりかねない。市販の製剤にもステロイドが配合されているものが販売されているが、正確な知識のもと、適切な使用が求められる。

ケロイドを治療する際にはステロイドの注射が用いられることが多い。ケロイドとは傷あとのことであり、かゆみ、痛みが強く、見た目が悪いことが特徴である。ケロイドのかゆみや痛みは、ケロイドの中にある様々な炎症細胞から発せられるものであり、これを止めるためにステロイドの注射が用いられる。ほかにも、ステロイドが配合されているテープ剤が使用されることも多く、ケロイドの治療にはステロイドの使用が基本である。

口内炎にもステロイドが用いられることがある。軟膏や貼付剤、噴霧剤などの剤形があり、痛みの緩和に用いられることが多い。こちらも根本的治療を行うものではないうえ、ステロイドの性質上、口内の常在菌バランスを崩してしまう恐れがあり、違う疾患を引き起こしてしまう可能性もある。また、口内炎の原因によっては、ウイルス性のものなど、ステロイドが禁忌となってしまうこともあるため、注意が必要である。