「コンセンサス」とは、「合意」「意見の一致」「総意(皆で一致した意思)」などの意味で用いられる表現である。「根回し」の意味合いを含むことも多い。主に「コンセンサスを取る」「コンセンサスを得る」といった言い回しで用いられる。
カタカナ語の「コンセンサス」は、「完全一致」「全員が納得しており異論が出ない状態」というニュアンスを込めて用いられることが多い。
「コンセンサス」は、英語の名詞 consensus に直接由来する語である。この英語の consensus は、ラテン語の consentire を語源とする。このラテン語の consentire は「con(共に)+sentire(感じる)」という構成の言葉である。
「コンセンサス」と「アグリーメント」の違い
コンセンサス(consensus)と同じく「同意・合意」を意味する英単語としてアグリーメント(agreement)が挙げられる。どちらも同意や賛成を表す言葉であり、ビジネスシーンでもよく用いられる。コンセンサスとアグリーメントの際立った違いは、「大勢の合意を得る」意味で使わやすいか否かである。「コンセンサス」は複数人の間での合意・意見の一致を指す意味で用いられることが多い。他方「アグリーメント」は、ひとりの相手との合意・意見の一致を指す場面で用いられることが多い。
「コンセンサス」を使った表現例
「コンセンサス」の語を含む言い回しや慣用表現の例としては、「コンセンサス配列」や「コンセンサス方式」「コンセンサスアルゴリズム」「フォールスコンセンサス」などが挙げられる。「コンセンサス配列」の意味
「コンセンサス配列(consensus sequence)」は生物学の用語であり、塩基配列やタンパク質のアミノ酸配列を複数種の生物どうしで比較した場合に見出される「共通の配列」を指す語である。「コンセンサス方式」の意味
「コンセンサス方式(consensus system)は、会議・議会などにおける意思決定の方法のうち、「特に反対意見が表明されなければ、全員賛成したものとみなして採決する」という方法のことである。コンセンサス方式は、誰も異論を挟まなければ意思決定に手間をかけることなく議論が円滑に進む。ただし反対意見が出た場合には議論を戦わせる必要があって流れが停滞・膠着しやすい。反対意見がよく出るような議題の場合は票決(投票による決定)方式などの方が適切といえる場合も多い。
「コンセンサスアルゴリズム」の意味
「コンセンサスアルゴリズム(consensus algorithm)」は、ビットコインに代表される暗号資産(仮想通貨)の技術的中枢であるブロックチェーンにおいて、「互いのデータの正当性を担保し合う」ための仕組みである。ブロックチェーン技術は分散型システムであり、システムを管理・監視する「中央」の存在を設けない。ネットワーク上の取引で不正が行われないかどうかは、分散システムに参加する全てのノード(端末等)が整合性の確認などを通じて監視・検証している。この「ノード同士が互いのデータの正当性を担保し合う仕組み」が、コンセンサスアルゴリズムである。
「フォールスコンセンサス」の意味
「フォールスコンセンサス(false consensus)」は、いわゆる認知バイアスの一種で、「自分は基本的に多数派に属している」という前提に立ってしまうこと。ざっくり言うと「てっきり他の人も自分と同じだと思っていた」状況に陥りやすいという心理的傾向のことである。「偽の合意効果」ともいう。
フォールスコンセンサスは、自分は基本的に多数派に属している
フォールスコンセンサスは、自分は基本的に多数派に属している