2013年11月13日水曜日

放射光施設

読み方:ほうしゃこうしせつ
別名:放射光実験施設
別名:フォトンファクトリー
英語:synchrotron radiation facility

加速器のシンクロトロン放射によって発生した、放射光と呼ばれる強い指向性と高い輝度を持つ電磁波を利用し、実験研究を行う施設。

放射光を用いることで、物質の構造や性質を原子レベルで分析することが可能である。このことから、放射光施設は「巨大な顕微鏡」に喩えられることもある。物理学や化学をはじめ、広範な自然科学分野における基礎研究に用いられているほか、新薬や新材料の開発などの応用研究にも利用されている。

放射光施設の最も古いタイプは、素粒子物理学研究用の加速器から漏出する放射光を利用した「寄生的」な施設であった。このタイプの施設は、「第一世代」の放射光施設と呼ばれている。その後、放射光の発生と利用を主目的とした「第二世代」の放射光施設が設けられた。2013年現在、最先端の放射光施設は、「挿入光源」と呼ばれる特殊な機器を備えた「第三世代」である。さらに、高干渉性X線を利用した「第四世代」が現在計画段階にある。

2013年現在、第三世代放射光施設のうち、「大型放射光施設」と呼ばれる大規模な施設は世界に3つ存在する。日本の兵庫県にある「SPring-8」、フランスにある「欧州シンクロトロン放射光研究所(ESRF)」、米国イリノイ州にある「先端放射光施設(APS)」がそれにあたる。