2013年11月14日木曜日

メソテリン

別名:MSLN
英語:mesothelin

細胞膜に存在するタンパク質の一種。胸膜や腹膜など、中皮細胞(mesothelial cell)に含まれることから名づけられた。細胞接着に関与するといわれているが、2013年11月現在、機能は明らかになっていない。類似のタンパク質とともに、可溶型メソテリン関連タンパク質(SMRP)と総称されることもある。

メソテリンをコードする遺伝子は、悪性中皮腫や膵がんなど、いくつかの種類のがんの発症に伴って過剰発現することが知られている。その結果、血液中や尿中でのメソテリン濃度が異常高値になることから、メソテリンはがん患者を検出するためのバイオマーカーの一つとして扱われている。また、がん患者以外に、将来卵巣がんを発症するリスクが高い不妊女性でもメソテリンの濃度が上昇することが知られているが、その理由は2013年11月現在、明らかになっていない。

メソテリンは主にELISAという手法によって検出されているが、検査の精度が低く、多額な費用がかかることが問題となっている。2012年に米国の高校生、ジャック・アンドレイカが、メソテリン特異的な抗体を含む検査紙を用いた、迅速かつ安価な検出手法を発明し、その実用化が期待されている。