2013年12月19日木曜日

オキシトシン

別名:OXT
別名:OT
英語:oxytocin

脳下垂体後葉から分泌されるホルモンの一種。9つのアミノ酸からなるペプチドホルモンである。

オキシトシンは主に平滑筋に作用するホルモンとして、子宮収縮作用や催乳作用が知られており、ヒトや家畜の出産時に陣痛促進剤として注射されることもある。オキシトシンは脳内で神経伝達物質としてはたらくことも知られている。

オキシトシンは母性や人間関係の形成などの社会行動や、不安の解消などに大きく関係しているといわれており、「絆のホルモン(bonding hormone)」と呼ばれることもある。マウスやヒツジなどを用いた動物実験では、オキシトシンの投与により、両親の協力関係や母子関係の向上が確認されている。

オキシトシンはまた、自閉症と関連することが知られている。自閉症の発症には、オキシトシン受容体(OXTR)の遺伝子変異が関係しているといわれているほか、自閉症患者の血中オキシトシン濃度が低い傾向にあることも知られている。

2013年現在、自閉症の有効な治療法は確立されていないが、オキシトシンは対症療法としての使用が期待されているほか、根本的な治療薬となりうる可能性もあるといわれている。オキシトシンの自閉症治療目的での処方は薬事法上認められていないが、金沢大学などでは臨床実験が行われている。