2014年1月21日火曜日

アメリカ鉤虫

読み方:アメリカこうちゅう
別名:Necator americanus
別名:ネカトール・アメリカヌス
英語:New World hookworm

ヒトなどの小腸に寄生する線形動物(線虫)の一種。アフリカ、アジア、南米の熱帯域に分布する。

アメリカ鉤虫は、ズビニ鉤虫とともに鉤虫症の病原体として知られている。ズビニ鉤虫よりも腸からの出血は少なく、無症状の場合も多いが、多数の虫が感染すると貧血症状を引き起こすことがあり、子供の場合には心不全や成長障害の原因となることもある。また、妊婦が感染すると、胎児の死亡率が高くなることが知られている。

アメリカ鉤虫は、宿主から卵の状態で便とともに排出される。土の中で孵化すると、足の皮膚などからヒトの体内に侵入し、血液やリンパ液によって肺に移動する。その後、消化管に移動し、小腸に定着するとともに宿主の血を吸って成長し、成虫となる。経口感染ではなく経皮感染が主である点で、ズビニ鉤虫とは生活環に違いが見られる。

2014年1月に、本種の全ゲノム解読の完了を報告する論文が、ワシントン大学などの研究グループにより「Nature Genetics」誌に発表された。この成果は、鉤虫症やヒトの免疫疾患に対する新たな治療薬やワクチン、診断法などの開発に有用だとされている。

関連サイト:
Genome of the human hookworm Necator americanus - Nature Genetics