2014年1月8日水曜日

有櫛動物

読み方:ゆうしつどうぶつ
別名:有櫛動物門
別名:クシクラゲ類
英語:Ctenophora
英語:Ctenophore
英語:comb jellies

繊毛が櫛の歯のように配列した「櫛板」と呼ばれる構造を持つことで特徴づけられる、動物の分類群の一つ。ウリクラゲやカブトクラゲなどのクラゲ類が含まれ、全ての種が海に生息する。

有櫛動物は、同じクラゲ類でも、ミズクラゲやカツオノエボシなどを含む「刺胞動物」とは異なるグループ(門)として分けられている。有櫛動物門と刺胞動物門の「クラゲ」は、いずれも体が透明な寒天質で、多くが浮遊生活をするという共通点を持つが、発生学的・形態学的・分子系統学的に大きな違いが認められている。

有櫛動物は原始的な動物でありながら、他の後生動物と共通すると見られる筋肉や神経系などの複雑な組織を有しており、後生動物の初期進化の解明に重要である。しかし、2014年1月現在、有櫛動物の系統が動物界全体の系統のどの部分に位置するかについては定説がなく、長らく議論が行われてきた。従来は、ヒトを含む後生動物の祖先は「海綿動物」であるという説が有力だったが、2008年にハワイ大学の研究グループにより、有櫛動物を全後生動物の祖先として位置づける論文が発表され、その妥当性について盛んに議論が行われた。

2013年12月に「Science」誌に掲載された、米国の国立ヒトゲノム研究所などの研究グループの論文では、有櫛動物の一種、ムネミオプシス・レイディの全ゲノム配列が初めて決定したことに伴い、有櫛動物が全後生動物の祖先だとする、2008年の論文を支持する結果が得られた。

関連サイト:
The Genome of the Ctenophore Mnemiopsis leidyi and Its Implications for Cell Type Evolution - Science
Comb Jellies (Ctenophora): A Model for Basal Metazoan Evolution and Development - Cold Spring Harb Protoc