2014年2月28日金曜日

線維筋痛症

読み方:せんいきんつうしょう
別名:繊維筋痛症
英語:Fibromyalgia
英語:Fibromyalgia Syndrome
英語:FMS
英語:FM

全身の筋肉の慢性的な疼痛を主症状とする疾患。特に、中高年の女性が発症する例が多く、患者の約8割が女性である。厚生労働省が2004年に行った疫学的調査によると、潜在的患者数は200万人を超えるとされる。

線維筋痛症の原因は不明とされているが、中枢神経の過敏状態(中枢性過敏)が原因という説が有力である。そのため、線維筋痛症は「中枢性過敏症候群」の一つとして扱われることが多い。ストレスや外傷、筋骨格系疾患、自己免疫疾患などから発症する例が多いとされる。

線維筋痛症は、通常の血液検査、免疫学的検査、画像検査、脳波検査などではほとんど異常が見られないことが知られている。診断にあたっては、従来から米国リウマチ学会(ACR)の1990年の基準が用いられており、「広範な疼痛が3か月以上持続すること」と、「触診圧痛点検査で18か所のうち11か所以上で痛みを感じること」が診断条件とされてきた。米国リウマチ学会は2010年および2011年に新たな診断基準を発表し、触診圧痛点検査を除外するとともに、広範囲疼痛指数(WPI)と症候重症度(SS)を採用したが、2014年現在、1990年の診断基準も併用されている。

線維筋痛症に罹患すると、僅かな刺激でも全身に激痛が走ることから、時に寝たきりの状態に陥ることもあるなど、患者のQOL(生活の質)が著しく低下することが知られている。線維筋痛症の症状は多彩であり、疼痛以外にも感覚異常やしびれなどが生じることがある。また、疼痛に伴う疲労感、不眠、うつ状態などの症状も特徴的である。

線維筋痛症に対する治療法は、2014年現在確立されていないが、治療にあたっては抗痙攣薬や抗リウマチ薬などが用いられることがある。その他、非薬物治療として認知行動療法などの精神療法や運動療法が行われることがある。鍼治療が行われることもあり、科学的根拠には乏しいものの、一定の効果があるとされている。

近年、子宮頸がんワクチンや成人用肺炎球菌ワクチンの接種後に、線維筋痛症を発症する例が知られるようになり、2014年2月に日本線維筋痛症学会と厚生労働省研究班は、この件についての調査を行う方針を発表した。

関連サイト:
日本線維筋痛症学会
Preliminary Diagnostic Criteria for Fibromyalgia - ACR(2010年の診断基準)