2014年3月19日水曜日

重力波

読み方:じゅうりょくは
英語:gravitational wave

物体が加速度運動を行う時に、重力のはたらきで発せられる波動の一種。「時空の波」あるいは「時空の音」と比喩されることがある。

重力波は、物理学者のアルベルト・アインシュタインが一般相対性理論の中で予言したが、これまでに直接検出された例はなく、その存在を裏付ける証拠も十分には得られていない。光を含む全ての電磁波は「光子(フォトン)」という粒子により媒介されるが、重力波はそれと異なる「重力子(グラビトン)」によって媒介されているといわれている。2014年現在、重力子の存在も実験的には明らかにされていない。

重力波は極めて小さいことから、地球上で人工的に作り出したり、地球上の現象から検出することは不可能とされている。仮に、天体のような巨大な物体が、光速に近い速度で加速度運動を行ったとしても、重力波の振幅はごく小さいと予想されている。レーザー干渉計などを用いて、天体現象に由来する重力波を検出する試みが世界各地で行われている。日本では、岐阜県飛騨市に大型低温重力波望遠鏡(LCGT)が建設されており、「かぐら(KAGRA)」の愛称がつけられている。

重力波を検出する戦略の一つとして、宇宙の誕生に伴う急激なインフレーションに伴って発生したとされる「原始重力波」の検出が目指されている。2014年3月に米国のスタンフォード大学やハーバード大学などの研究グループが、原始重力波の存在を示す証拠を発見したと発表した。具体的には、南極のBICEP2望遠鏡を用いて、宇宙マイクロ波背景放射(CMB)の偏光に「Bモード」と呼ばれる渦状のパターンが見られることを確認したことにより、重力波の作用およびインフレーションの観測的証拠が示されたとされた。

関連サイト:
KAGRA 大型低温重力波望遠鏡