2014年3月19日水曜日

白馬事件

読み方:しろうまじけん
別名:スマラン事件
別名:オヘルネ事件

第二次世界大戦中に、日本軍占領下のインドネシアにおいて、日本軍がオランダ人女性を慰安婦として強制的に監禁し、強姦したり売春を行わせたりした事件のこと。「白馬事件」の名称は、白人を馬のように酷使したことに由来するとされている。白馬事件の存在は、戦後長らく知られてこなかったが、1992年の朝日新聞による報道をきっかけに広く知られるようになった。

1948年に行われたバタビア臨時軍法会議(バタビア裁判)において、白馬事件に関与した日本の軍人や慰安所経営者などがBC級戦犯として裁かれ、日本軍側の責任者とされた岡田慶治陸軍少佐が死刑を宣告された。日本政府はサンフランシスコ講和条約の締結にあたって、この裁判の判決を受諾した。

白馬事件について日本政府は、サンフランシスコ講和条約と1956年の日蘭議定書で法的には解決しており、さらに戦後の「償い事業」として2億5500万円の支払いが完了しているとの立場をとっている。しかし、オランダではその後も日本政府に対して謝罪や賠償を求める意見があり、2007年にはオランダ議会下院で「慰安婦問題謝罪要求決議」が可決された。

1993年の「慰安婦関係調査結果発表に関する河野内閣官房長官談話(河野談話)」において、日本政府は日本軍による慰安婦の強制連行があったことを認めている。河野談話は、「朝鮮半島出身者のいわゆる従軍慰安婦」に対する強制性を認めた談話と解釈されることもあるが、河野洋平は「官憲などが直接関与した事例」として白馬事件を挙げるに留まっていることから、誤解に基づく拡大解釈がされているとする意見もある。

一方、白馬事件はインドネシアの旧宗主国であったオランダが、オランダ人女性が被害者となった事例のみを取り上げて裁判を行ったものであることから、現地住民などの被害が見過ごされており、明るみになった事実は氷山の一角に過ぎないという意見もある。