2014年3月19日水曜日

粒子線治療

読み方:りょうしせんちりょう
英語:particle beam radiation therapy
英語:particle beam
英語:ion beam radiation therapy
英語:ion beam radiotherapy

陽子などの高いエネルギーを持つ粒子を照射し、がんの除去を行う放射線療法のこと。同じ放射線療法でも、X線やガンマ線などの「光子線」を用いた治療とは区別される。

粒子線治療では、主に水素原子核(陽子線)と炭素原子核(炭素イオン線)が用いられている。陽子より重い原子核からなる「重粒子線」が粒子線治療に用いられることもある。

粒子線は線量のピークがX線などの光子線と異なっており、体内の腫瘍に対する線量集中性に優れているとされている。その性質を利用して、健全組織への照射を最小限に抑えることができるほか、体内の奥深くにある腫瘍への照射も可能になっている。また、がんの中には放射線に対して抵抗性を持つものがあるが、粒子線を利用することで除去することができる場合もあるとされる。

粒子線治療は患者への肉体的、精神的負担が軽く、外科手術に匹敵するほどに優れた治療成績の報告もある。しかし、粒子線治療は比較的新しい治療法であることから、保険が適用されない場合があり、患者の金銭的負担が重いことが課題となっている。先進医療に保険が適用されるためには、その治療法が広く普及することが条件になることから、粒子線治療を行う医療機関の増加が望まれているが、粒子線治療に用いられる装置は高価であり、施設の建設費も数十億円から百億円以上に及ぶ。