三権分立とは、三権分立の意味
三権分立とは、国の権力を三つに分散させ権力の集中を避ける仕組みのこと。三権分立はフランスの啓蒙思想家であるモンテスキューが18世紀に提唱し、体系化を行った。モンテスキューの三権分立論は、権力が一箇所に集中すると濫用が起こるとし、それを防ぐためには別の権力が監視・抑制する必要性があるという考えである。ただし権力を分立させる考え自体は、モンテスキューが最初ではない。イギリスの哲学者のロックはモンテスキューよりも早く権力分立を説いていた。ただし、ロックの権力分立は議会を最高権力と位置づけていたため、三権の中での力関係はアンバランスであった。これに対してモンテスキューの三権分立は、三権が等しく監視と抑制の役割を持っているのが特徴である。三つの機関で三つ巴の状態を作り上げることで、権利の独占を防ぐのが目的の一つだ。モンテスキューは、それまでの権力分立の考えと異なり、より完全な形の三権分立を提唱したため後世に広く継承されていくことになったのである。また権力を役割ごとに分けるだけではなく分離させ、お互いに抑制し合うことでバランスを保つことが特徴だ。日本でも民主主義政治にマッチすると言う理由で、三権分立が採用されている。
日本における三権分立
日本の三権分立は、立法・行政・司法の三つとなっている。立法権は国会、行政権は内閣、司法権は裁判所と、それぞれの機関に分けているのがポイントである。国会は、国の法律を決定したり国家予算を決定したりするが、その他にも外国との条例の承認なども行っている。内閣では、法律に基づいた上で国の政治を進めていく。大きな役割としては予算案を国会に提出したり、外国と条例を結んだりすることである。裁判所は法律に基づいて犯罪や争いごとを解決するための機関である。国会は、内閣に対して内閣総理大臣の指名と内閣不信任決議を行うことができ、裁判所に対しては弾劾裁判を行える。内閣は、国会に対して衆議院の解散と国会の召集を行え、裁判所には最高裁判官の指名と裁判官の任命を行える。裁判所は、国会に対して違憲立法審査を行い、内閣には行政の違憲審査が行えることになっている。このように、三つの機関でそれぞれ異なった権利を持ち、お互いに干渉し合うことで、権利の独占や集中を回避している。ただ三つの機関の名称や役割、権利が、ごっちゃになってしまい混同されることも多い。
三権分立の覚え方
三権分立の覚え方としては、国を大きなスポーツの大会としてイメージするとよい。スポーツ大会で、監督を務めるのは国会、選手は内閣、審判は裁判所となる。監督(国会)は、練習メニューを考えたり試合のための作戦を立てたりなど、様々な決定権を持つのだ。選手(内閣)は監督(国会)の決めた練習メニューや作戦に沿って、実際にプレーを行う役割である。審判(裁判所)は、ルールに基づいて反則がないかチェックしたり、公平な判断を行ったりする立場になる。このように考えると、それぞれの役割がはっきりと分担されていることが理解できる。監督や審判は、決して選手の代わりに試合に出たりはしないし、審判が試合中に作戦の指示を出すこともありえない。監督はあくまで指示を出すだけで、実行するのは選手であり、審判はルールに反していないか常に監視している。この場合のルールは憲法であり、憲法違反を取り締まっているのが裁判所である。監督(国会)は、選手(内閣)のキャプテン(内閣総理大臣)を指名したり、審判(裁判官)を辞めさせるかどうかの話し合いを開ける。選手(内閣)は、監督やコーチなどの指導陣(衆議院)の解散を決められ、審判のトップ(最高裁判官)の指名が可能である。より簡略的な覚え方としては、様々なことを決める国会、国会の決めたことを実行する内閣、憲法違反がないか目を光らせている裁判所ということになる。