2013年12月12日木曜日

アサハン開発事業

読み方:アサハンかいはつじぎょう
別名:アサハン計画
別名:アサハン事業
別名:アサハンアルミニウム計画
別名:アサハンアルミニウム事業

インドネシアの北スマトラ州を流れるアサハン川に、大規模な水力発電所とアルミニウム製錬工場や、関連するニュータウンや港湾などを建設する開発事業。1976年に日系企業連合とインドネシア政府との合弁会社として設立された、アサハン・アルミニウム社(INALUM)により進められた。

アサハン川流域でアルミニウムを生産する構想は戦前からあり、オランダ、旧ソ連、米国などが開発に意欲を見せたこともあったが、最終的には日本のみが残り、アサハン開発事業は日本のインドネシアに対する経済協力プロジェクトとして推進されることとなった。アサハン開発事業は、多額の公的資金が投じられた一大プロジェクトであり、日本とインドネシアの経済協力および友好の象徴とされてきた。

アサハン開発事業の第一期工事は1982年に完了し、アサハン川流域では以後継続的にアルミニウムの生産が行われてきた。年間生産量は約26万トンで、うち約6割が日本に輸出されてきた。負債増加による資本注入を受けた時期もあったが、日本にとってはアルミニウムの安定供給源の確保に成功し、インドネシアでは産業の育成に繋がったことなどから、プロジェクトは一定の成果を挙げたとされている。

2013年に、1975年に締結された協定が満期を迎えるにあたって、日本側は新たに3億ドルを投資して事業を拡大継続する意向だったが、インドネシア側は議会の反対もあり提案を受け入れなかった。また、両国の間で希望譲渡価格に隔たりがあったことなどから交渉は難航し、一時は投資紛争解決国際センターによる仲裁も視野に入れられた。交渉の結果、インドネシア政府が日本企業連合に5億5700万ドルを支払って完全買収(国有化)する形で、アサハン・アルミニウム社の合弁解消が決定した。