及第点とは、合格基準を満たしている点数、または最低限の基準をかろうじて満たしている状態のことである。後者の用法で「及第点」を用いる際には、合格点数などの基準が明確には定められていない場合もある。
及第点の語源である「及第」は中国語に由来する。中国語の「及」は「届く」、「第」は「大きな屋敷」を意味することから、「及第」とは「(官僚試験等に合格すれば)大きな屋敷(で働くこと)に手が届く」といったニュアンスと言える。「及第」に必要な点数として「及第点」という表現が使われるようになった。
「及第点」は自身の謙遜表現として使うことはできるが、目上の人を評価する際に用いる語として使うのは失礼にあたり、不適切と言える。「及第点」は「取る」「達する」といった動詞と共に用いられることが多く、おおむね文脈意味ニュアンスによって使い分けられる。「及第点に達する」には、努力などが報われて概ね基準を満たしているといった評価が得られたというニュアンスがある。「及第点を取る」には、次のステップへ進むための通過すべき評価をかろうじて得ることができたといった意味合いがある。
話者によって基準や明確な点数が曖昧な「及第点」に対し、「合格点」はその点数が明確かつ客観的に示される。「及第点」と似たニュアンスの「まあまあ」は、実際にはさほど良くない場合にも「調子はまあまあだよ」といった使われ方をする場合がある。
- 弟が初めて作った料理は素晴らしい出来とは言えないものの、及第点といえる。
- 今月の営業成績はかろうじて及第点といったところだ。
- 追試で及第点を取って、なんとか卒業することができた。
なんとか一定の評価を得たといったニュアンスの「及第点」の対義語としては、「落第点」「不合格」などがある。「落第点」は、進級に必要な評価が得られず「落第」してしまう点数のことである。「不合格」は、合格基準を満たしていないため、合格の判定が得られなかった状態である。