2013年12月4日水曜日

標的指向型DDS

読み方:ひょうてきしこうがたディーディーエス
別名:標的指向型ドラッグデリバリーシステム
別名:ターゲティングDDS

生体内で薬剤を効率よく伝送し、効果を最大限に発揮させることを目指す「ドラッグデリバリーシステム(DDS)」のうち、薬剤を目標の組織や病原体などに特異的に作用させる方法をとるもののこと。標的指向型DDSには、大きく分けて「能動的標的指向型DDS」と「受動的標的指向型DDS」の2種類がある。

「能動的標的指向型DDS」は、薬剤に抗体や糖鎖などを直接結合させたり、抗体や糖鎖を表面に付加したリポソーム、マイクロスフェア、ミセルのような微粒子運搬体を用いることにより、薬剤の作用対象を制御するタイプのDDSである。このDDSに基づいて開発された薬剤は、「ミサイルドラッグ」と呼ばれることもある。

「受動的標的指向型DDS」は、薬剤の粒子径や親水性などの物理的性質を変化させ、生体膜に対する透過性を調節するなどの手段で、薬剤の作用対象を制御するタイプのDDSである。代表例として、腫瘍組織のEPR効果を利用したDDSを挙げることができる。EPR効果とは、腫瘍組織に形成された新生血管の透過性が高くなる効果のことであり、この効果を考慮して抗がん剤の粒子径を調節することで、腫瘍組織に抗がん剤を特異的に作用させることが可能になっている。