2013年12月4日水曜日

クロマグロの完全養殖

読み方:クロマグロのかんぜんようしょく
別名:マグロの完全養殖

マグロの中でも特に高級とされるクロマグロの、孵化から成長、産卵に至る全ての段階を、人工的に制御された環境下で行わせること。

日本は世界で有数のクロマグロの消費国で、主に地中海産の大西洋クロマグロや、メキシコ産の太平洋クロマグロを輸入してきた。しかし、クロマグロが生息数の減少に伴い漁獲規制の対象となり、輸入禁止措置が取られるおそれもあったことから、完全養殖の実現が望まれていた。

クロマグロの完全養殖は1970年に水産庁がプロジェクトとして取り組み始めたのをきっかけに、近畿大学水産研究所で研究が行われてきた。しかし、クロマグロの稚魚(種苗)は環境の変化や刺激に弱く、共食いする性質があることなどから、しばしば大量死を起こし、完全養殖の実現には困難が伴った。

2002年に近畿大学水産研究所は、世界で初めてクロマグロの完全養殖に成功したことを発表した。このマグロはのちに「近大マグロ」の名で知られるようになり、2013年12月現在、近畿大学のベンチャー企業である株式会社アーマリン近大を通じて流通されているほか、大阪・梅田や東京・銀座に近大マグロを提供する飲食店がある。また、複数の企業がクロマグロの養殖事業に参入しており、近畿大学の技術を基にして商業ベースでの養殖に取り組んでいる。

関連サイト:
クロマグロなどの魚の養殖、種苗生産、品種改良 - 近畿大学水産研究所