2020年7月13日月曜日

トレーサビリティ

英語:traceability

トレーサビリティは「(食品の)移動を把握できること」を意味する英語由来の表現。「追跡可能(性)」と訳されることも多い。もっぱら、食品等の流通・品質管理の分野において、商品の生産過程や流通過程が流通・製造・原料の飼育や栽培に至るまで遡って追跡できること、および、そのためのシステムを指す意味で用いられる用語。

トレーサビリティは、かつて食品の産地偽装や異物混入といった問題が多発し、社会問題化していた際に、その必要性が認識され、導入・整備が進んだ経緯がある。

トレーサビリティ(のシステム)により追跡可能な一連の行程、および、その各段階における仕様を、方眼紙様の表にまとめた体系図が、トレーサビリティマトリクスと呼ばれる。

トレーサビリティマトリクスは、商品の製造工程はもちろん、包装の材料やラベルの印刷工程、印刷用のインク等、あらゆる工程を記入対象とする。そのように厳密に把握・管理することにより、あらゆる段階で発生しうる問題の追跡や管理にも役立ち、仕様変更も行いやすくなる。

食品トレーサビリティでは、原料の入手経路、農産品の栽培基準、農薬の使用基準と実際に使用した実績、種苗の入手経路や栽培土壌なども体系図に組み込まれ管理される。畜産物なら飼育基準や加工基準が、海産物なら漁獲地や、養殖に使われる薬剤が、トレーサビリティシステムマトリクスに含まれることになる。