コンピテンシーとは、優れた業績を残した個人の行動特性のこと。英語のcompetence(競争する)の名詞形で、主に企業において社員の能力評価や人材の採用基準として用いられる。コンピテンシーの特徴は、個人を評価するのに知識レベルや資格、学歴などではなく具体的な行動によって行うことである。また、チームワーク、親密性、情報収集力などの評価項目を用いることで、評価者の主観に左右されない客観的な評価を可能にする。
コンピテンシーが注目された背景として、企業の成果主義志向の高まりが挙げられる。従来の評価基準では、主に協調性、責任制など個人の潜在的・顕在的な能力を中心に行っていた。だが、その能力は必ずしも業務成果にはつながらない。コンピテンシーは能力ではなく、成果を残した具体的な個人の行動をモデル化し、それを評価基準とすることで業績を残せる個人の育成・採用を可能にした。コンピテンシーは企業によって異なる基準が設けられ、その企業が欲しい人材を過去の成功例や理想型からモデル化する必要がある。
また、コンピテンシーが利用される例として、就職活動中の学生が自分の強みや弱み、企業が求める人物と一致しているかなど、自分の能力を診断する際に用いられることがある。また、看護の場面や教育の場面においても、コンピテンシーによる評価や能力育成が行われつつあり、企業にとどまらない広い活用の場がある。