「読む」の尊敬語表現
「読む」を尊敬語表現にすると、「お読みになる」となります。「読む」と「お~になる」という尊敬語表現と組み合わせた形で、目上の人に対しても問題なく使用することができます。また、尊敬の要素を含んだ助動詞「れる」と組み合わせて、「読まれる」という表現にすることも可能です。「お読みになる」と「読まれる」は尊敬の度合いに大差はなく、どちらを使用しても失礼にはなりません。「読む」の尊敬語の最上級の表現
一般的な「読む」の尊敬語は、「お読みになる」または「読まれる」以外にはありません。そのため、最上級の尊敬語表現をする場合も、「お読みになる」あるいは「読まれる」を使用します。もし、より強い敬意を示したいのであれば、別の動詞と組み合わせて「お読みになっていらっしゃる」や「お読みくださる」といった表現にする方法があります。「お読みになっていらっしゃる」は、「読む」を「読んでいる」とした上で尊敬語に変えた表現で、「読む」と「いる」がそれぞれ、「お読みになる」「いらっしゃる」という尊敬語に変えてあります。2つの尊敬語を組み合わせているため、強い敬意を示すことができます。そして、「読む」と「いる」はそれぞれ別の動詞なので、二重敬語ではありません。
「お読みくださる」も同様に、「読む」を「読んでくれる」という表現に変えてから尊敬語にしたものです。「読む」の尊敬語である「お読みになる」と、「くれる」の尊敬語「くださる」が組み合わさっています。こちらも「お読みになっていらっしゃる」と同様に、2つの尊敬語を使いながら、二重敬語にはなっていない表現です。「お読みになっていらっしゃる」「お読みくださる」は「お読みになる」や「読まれる」よりも使用できる場面が限定されますが、使用することができれば、相手に強い敬意を示せます。
「読む」の尊敬語のビジネスメール・手紙での例文
「読む」の尊敬語として「お読みになる」「読まれる」を使用する場合、例文は「先日お渡しした本は名著ですので、お読みになった方がよろしいかと存じます」「今回の企画書は読まれましたでしょうか」となります。そして、より強い敬意を示すために「お読みになっていらっしゃる」を使用するのであれば、例文は「先日お読みになっていらっしゃった本は、どのようなタイトルか教えていただけますでしょうか」「弊社のメールマガジンはお読みになっていらっしゃいますでしょうか」といった形です。「お読みくださる」を使用する場合の例文は、「長文となりましたが、お読みくださいましてありがとうございます」「お客様はすでに説明文をお読みくださったそうです」となります。「読む」を上司に伝える際の尊敬語表現
上司に対して「読む」を敬語で表現する場合、「お読みになる」または「読まれる」を使用することになります。どちらも目上の相手に使用しても問題ない表現です。また、より砕けた尊敬語表現はないため、身近な上司に対する表現も、「お読みになる」または「読まれる」を使用します。「お読みになっていらっしゃる」や「お読みくださる」は、かしこまった表現なので、立場の離れた上司に使用するのが好ましいです。身近な上司に使用する場合は、「お読みになっている」や「読んでくれます」のような、砕けた表現をした方が良いでしょう。「読む」の尊敬語での誤用表現・注意事項
「読む」の尊敬語として「お読みになる」を使用する場合、「お読みになられる」という表現にならないように注意が必要です。「お読みになられる」は、「お読みになる」と尊敬の要素を含んだ助動詞「れる」を組み合わせたものです。しかし、「お読みになる」はすでに尊敬語として成立しているため、そこに「れる」を付け足すと、二重敬語という過剰な敬語表現になってしまいます。二重敬語は一般的な敬語としては使用しないため、「お読みになられる」という表現は避けましょう。また、「拝読なさる」や「拝読される」といった、誤った表現を使用しないように注意が必要です。より強い敬意を示そうとした場合に多い表現で、格式張った熟語を使おうとすると、「拝読」という言葉を選びがちです。確かに、「なさる」や「される」は尊敬語です。しかし、「拝読」は尊敬語ではなく謙譲語で、尊敬すべき相手がへりくだる形になってしまいます。そして、尊敬語と謙譲語を組み合わせるのは文法的な誤りなので、「拝読なさる」「拝読される」は間違った表現です。
「読む」の尊敬語での言い換え表現
「読む」の尊敬語には、「ご精読なさる」「ご精読くださる」という表現があります。「精読」は文章をじっくり読むという表現で、相手に読むことを勧める際に使用する場合が多いです。そして、「精読」そのものには尊敬の要素が含まれていないため、「なさる」あるいは「くださる」と組み合わせて尊敬語にします。また、「ご覧になる」という尊敬語表現を使用することもできます。「ご覧になる」は「見る」の尊敬語ですが、「読む」という意味合いも含まれています。ただ、あくまでも「見る」という意味なので、じっくり読むという表現の時には不適切です。相手が文章を簡単に確認したり、目を通したりするという表現をする際に用いることができます。そして、「ご覧になる」と同様の、目を通すという意味を持った尊敬語には、「ご一読なさる」という表現もあります。