2022年1月24日月曜日

テレワークとリモートワークの違い

2020年に新型コロナウイルスが流行して以降、「テレワーク」「リモートワーク」という言葉を見聞きする機会が増えたという人も多いでしょう。混同されがちなこの2つの言葉ですが、厳密には違いがあるのでしっかり押さえておきたいところです。今後もまだまだ使用する場面が多いであろうテレワークとリモートワークの違いについて理解を深めておきましょう。

「テレワーク」「リモートワーク」の違い・概要

「テレワーク」と「リモートワーク」が明確に使い分けられている場面は少なく、どちらの言葉を使用しても意味が通じるというのが現状です。ただし、リモートワークは特定の働き方を指す言葉ではないのに対して、テレワークではいくつかの働き方を想定して明確な定義付けがなされています。定義は厚生労働省の関連組織「日本テレワーク協会」が公式に発表しており、内閣府や厚生労働省ではテレワークという言葉を用いるのが一般的です。

「テレワーク」「リモートワーク」の意味・読み方は?

テレワークは「Tele(離れた)」と「Work(働く)」の2つの単語が合わさった熟語です。意味合いとしては「離れた場所で働く」といった具合になります。テレワークという言葉が生まれたのは1970年代のアメリカであり、1980年代に入ると日本でも広く知られるようになったのです。1970年代のアメリカでは自動車産業の隆盛が起因となり、深刻な大気汚染に悩まされていました。加えて二度にわたる石油危機が発生した事も相まって、アメリカでは従業員に自宅で仕事を進めてもらうためにテレワークという働き方が考案されます。日本における最初のテレワークは、1984年にNECが設置したサテライトオフィスであるという説が有力です。なお、現代の日本においてテレワークは「ICT(情報通信技術)を利用した、場所や時間に囚われない働き方」と定義付けされているので留意しておきましょう。

リモートワークは「Remote(遠隔)」と「Work(働く)」という2つの言葉で構成されています。「遠くで働く」という和訳になるため、意味合い的にはテレワークと大きな違いはありません。リモートワークはテレワークと異なり、公的機関によって正式な定義付けが行われていないという点が特徴です。2020年の新型コロナウイルスの流行以降、民間の間で自然に広まった言葉であるとされています。海外メディアではリモートワークという言葉が使われるケースも多いです。

「テレワーク」「リモートワーク」の使い方、使い分けは?

テレワークには大きく分けて「在宅勤務」「モバイルワーク」「サテライトオフィス勤務」の3種類があります。在宅勤務は従業員が出社せずに自宅で勤務に従事するスタイルで、就業時間は出社の場合のそれに準拠するのが一般的です。ビデオ通話によるWeb会議や、クラウド技術によるデータ共有を活用して業務を行うのが基本と言えるでしょう。モバイルワークではノートPC・スマートフォン・タブレットなどを活用して出張先や外出先で業務を行います。基本的にはWi-Fi環境が整った場所で業務にあたるのが望ましいでしょう。サテライトオフィスとは本社や本拠地以外に設けられた従業員の業務用施設です。支店・営業所などと混同されがちですが、サテライトオフィスは最低限の設備と敷地面積で構成される場合がほとんどで拠点としての機能を持ち合わせていません。あくまで従業員が作業するためだけのスペースという認識です。

上記3つの働き方を指す場合には、一般的にテレワークという呼び方が使われています。ICTの活用を軸にした働き方となっている点も重要なポイントです。また、テレワークは日本政府も公式に認めている呼称である事から、比較的フォーマルな場面で使用される傾向にあるので留意しておくと良いでしょう。例えば各省庁や大手企業、都道府県や市区町村といった自治体で扱われる文章の中ではテレワークが一般的です。テレワークを行う職種としては営業・管理・顧客対応といった一般職系が多く見られます。

一方、リモートワークという言葉は民間のIT企業(主に中小)やフリーランスの間で用いられる場面が多いと言えます。言葉の意味としてはテレワークとほぼ同義ですが、特定の働き方を示すものではないという点に注意しましょう。そのため、ICT技術を用いず単純に本来の勤め先以外で業務にあたる場合はリモートワークに該当します。職種としてはエンジニア・デザイナー・ライターなどが該当するでしょう。

「テレワーク」「リモートワーク」の用例・例文

テレワークは省庁をはじめとする公的機関でよく用いられるため、比較的固い印象の文面で用いられる事もあります。例えば社内・省内の通達において「所定の勤務日数のうち、半分以上をテレワークとして業務に従事する事」といった具合に用いられるでしょう。もちろん日常会話で使用する場合もあるので「今日はテレワークだから出社する必要がないし、子供の面倒は私が見るよ」などのようにカジュアルな言い回しも可能です。リモートワークはフリーランスとクライアントの間でやり取りされる場合によく見られるため、「基本的にはリモートワークで対応してもらい、必要な場合には弊社へお越し頂きます」というような言い回しが多いです。ICTの活用を前提としないので「リモートワークでデータの作成だけ済ませておく」というように、会社のシステムと完全に切り離された作業を指す場合にも用いる事が出来ます。