2022年1月24日月曜日

回答と解答の違い

「質問にカイトウする」「問題をカイトウする」どちらの「カイトウ」も「答える」という意味では共通ですが、「何かに答える」場合と「何かを答える」場合では使う言葉が違っています。「答える」という意味を持つ「カイトウ」には「回答」と「解答」の2通りの漢字があります。それぞれの「カイトウ」にどんな違いがあるのでしょうか。また、それぞれどんな時に使うのが正しいのでしょうか。詳しく見てみましょう。

「回答」「解答」の違い・概要

「回答」と「解答」の大きな違いは、返された答えの中身です。「回答」は、「なされた質問や要求に対して意思や考え方を返すこと」を意味します。その返答内容は必ずしも相手の意図に沿っている必要はなく、「正答」「誤答」という評価がなされることはありません。「回答」で得られる返答は様々で、その結果は世論調査などに利用されています。

一方「解答」は、「正しい結果を導き答えること」です。この場合に求められる返答は、理にかなった正確さや出題者の意図に沿った「正答」を求められます。不正確もしくは出題者の意図に沿っていなければ「誤答」と評価されます。「解答」を求められる場合には、正確な知識を求められる各種試験やクイズなどがあります。このように、「答える」という意味をもつ2つの言葉には大きな違いがあります。では、それぞれの言葉の詳しい意味を掘り下げてみましょう。

「回答」「解答」の意味・読み方は?

「回答」は「かいとう」と読みます。「回」という字には「まわす」という意味のほかに、「元に戻す、返す」という意味があります。よって「回答」は「質問や要求に対して答えを返すこと、またはその答えのこと」という意味になります。また、「回答」は「返事」という言葉に置き換えられることもあります。「回答」の内容に限定はありません。すなわち答えた人の意思、考えをそのまま相手に伝えることで用が足りる場合、この「回答」という言葉を使うということになります。

「解答」も「かいとう」と読みます。「回答」と同じ読み方ですが、意味は大きく異なってきます。「解」という字には「物事の筋道、わかる」という意味があります。この漢字を使う「解答」は、「筋道に沿ってときほぐした結果を答えること、またはその答えのこと」という意味になります。実際に試験などで求められる「解答」は、筋道に沿って導き出された理にかなったもの、あるいは出題者の意図に沿った内容でなくてはなりません。

「回答」「解答」の使い方、使い分けは?

「回答」は、「質問や要求に対するこちらの意思や考えを返す」という意味でしたが、このような返答を要求されるのはどのようなときでしょう?もっともわかりやすい例は「アンケート調査」でしょう。アンケート調査は、人々がどんなことを考えているのかを知るために実施される調査です。この調査では人々の返答結果は不確実です。選択肢を選ぶ形式なら返答内容はある程度限定出来ますが、どの選択肢がどのくらいの割合で選ばれるのかは未知数ですので、質問者の意図とは異なる結果が出る可能性があります。このように、返答に質問者の意図に沿うことを求めない場合は「回答」を使います。

一方「解答」は、「筋道に沿って導き出された理にかなったもの、あるいは出題者の意図に沿った結果を導くこと」という意味でした。「解答」の例として数学の問題を解くときのことを考えましょう。数学の問題は正答が極めて限定的です。なぜなら、公式や法則に則り筋道を立てて理論に沿って正しく計算すれば、誰がやっても必ず同じ答えが導き出されるからです。このように、筋道に沿って答えを導き出す場合は「解答」を使います。また、クイズのように出題者の意図やルールに沿って限定された答えを導き出すことを求められる場合も「解答」という言葉を使います。
国語の記述式試験や論文試験のように、唯一の正答を導き出すことが難しい試験もありますが、その場合も「解答」を使います。いわゆる「模範解答」という正答の一例が用意されており、解答者の答えが出題者が意図した内容に近いか否かで正誤を判定します。

このように、「質問者、出題者の意図に関係なく意思や考えを答える」場合には「回答」を、「筋道に沿って解いた、あるいは出題者の意図に沿った結果を答える」場合は「解答」を使います。

「回答」「解答」の用例・例文

・「回答」の用例、例文
「いただいたご質問については、後ほど文書で回答いたします。」
(「質問」はこちらの意思を確認するものなので「回答」を使います。)
「こちらの要望に対する先方の回答は、納得がいくものではなかった。」
(「回答」の内容は、必ずしも質問者や要望を出した人の意図を汲んだものではありません。)
「回答例」
(設問に対する答えを「記述する方法」を例示したもの。)

・解答の用例、例文
「物理の難題に解答する」
(公式、法則に則って答えを導き出すため「解答」を使います。)
「なぞなぞに解答する」
(出題者の意図に沿って答えを出すので「解答」を使います。)
「模範解答」
(一字一句まで違いのない文章解答を求めることが難しい場合などに正誤判定する際に使います。出題者が求める解答の一例)