2022年1月24日月曜日

憲法と法律の違い

普段は見慣れている言葉でも、その意味をきちんと理解して、使用している人はそれほど多くはないでしょう。特に日本語は、似た読み方や似た意味を持つ言葉が多く、日常生活でも状況に応じてどんな語句を使えばいいのか分からなくなってしまうことがありますよね。今回は、一見似たような語句である「憲法」と「法律」の意味の違いや使い方などをご紹介します。是非ご活用下さい。

「憲法」「法律」の違い・概要

「憲法」と「法律」の意味の違いは、誰が何をルールによって縛るかによって異なっています。「憲法」とは、国の政治の基本の在り方を国民が定めたルールであり、国などの大きな権力から国民を守るための縛りです。対して「法律」とは、国民が定めた憲法に基づいて国が作ったルールのことであり、国の秩序などを守る為に国が国民に課した縛りのことです。

まとめると、「憲法」は国のためのルール。「法律」は国民のためのルールとなっています。

「憲法」「法律」の意味・読み方は?

「憲法」は「けんぽう」と読み、「法律」は「ほうりつ」と読みます。「憲法」と「法律」を詳しく説明すると、まず第一に「憲法」は国の最高法規であり、法律の中で上位に位置しています。憲法の最高法規とは、日本国憲法の第九十八条であり、そこから抜粋すると『この憲法は、国の最高法規であって、その条規に反する法律、命令、詔勅及び国務に関するその他の行為の全部又は一部は、その効力を有しない。』と書かれています。つまり、憲法が絶対的な国の基本の規定となり、それによって法律やその他の重要なルールなどが定められ、憲法に反するものは法律であっても無効となるということです。

そして、「憲法」とは、国民が国家の権力から自由や権利などを守るために生まれた規定であり、国が守らなくてはいけないルールとされています。そもそも何故「憲法」が誕生したかと言うと、第二次世界大戦後、軍国主義だった日本が、連合国側から民主主義の確立を要請されたために、連合国軍総司令部の指導の元で根本的な憲法の改定を行い、それにより国民の基本的人権を守るルールが定められました。ちなみに日本国憲法には「国民主権」、「平和主義」、「基本的人権の尊重」という三原則があります。「国民主権」は、国の政治の決定権が国民にあるという意味です。「平和主義」は戦争を放棄し、恒久的な平和を志す思想を意味します。「基本的人権の尊重」は、国民が生まれながらにして持つ権利のことで、それを尊重することです。

「法律」とは、国家権力が国民を律するために定められた、国民が守らなくてはならないルールのことです。法律は国の社会の秩序を守り、国民の生活をより豊かにするために存在していると言われています。また、新たな法律を作るには、衆議院、もしくは参議院に提出された法案を、国会で審議を行い、そこで可決すれば新たな法律が成立することになります。

「憲法」「法律」の使い方、使い分けは?

「憲法」と「法律」は、誰が何を守るルールかで使い分けることが出来ます。「国が守らなければならないルール」ならば「憲法」、「国民が守らなければならないルール」ならば「法律」です。例えば、日本国憲法の三原則に含まれる基本的人権の尊重の五つの権利である「自由権」、「平等権」、「社会権」、「参政権」、「請求権」などに関わる事柄については「憲法」として使い分けることが出来ます。権力の集中や濫用を防止するために定められている三権分立の「立法(国会)」、「行政(内閣)」、「司法(裁判所)」も「憲法」に分けることが出来ます。

国民が守らなければならないルールである「法律」には、六法という日本において主要となる法律が存在し、それらは「憲法」、「刑法」、「民法」、「商法」、「刑事訴訟法」、「民事訴訟法」の六つで分けられています。簡単に内容を説明すると「刑法」は犯罪に対する刑罰を定めた法であり、「民法」は日常での金銭のやり取りに関する規律など、日常生活と密接に関係している法律であり、民間の法律の基本的なルールを定めた法となります。その分法律の項目も多い特徴があります。「商法」は商行為や企業などの活動について規定した法です。「刑事訴訟法」は刑罰法令に違反した人を罰するための訴訟手続きに関する法律です。「民事訴訟法」は私人間の生活関係に関する争いを解決させるための手続きに関する法律です。これらも法律として使い分けることが出来ます。

他にも、憲法や法律に関係することは日常生活の身近に数多く存在し、例えば労働基準法や消費者契約法などの法律は生活と密接した関係を持っているので、使用する機会は多いでしょう。

「憲法」「法律」の用例・例文

「憲法」と「法律」の用例・例文は、次のようなものがあります。

・憲法は日本における最高法規であり、国の在り方を定めたルールである。
・日本国民は、憲法によって人権を尊重される権利を生まれ持っている。
・法律とは、社会の秩序を守るために国が定めた規定だ。
・法律を知ることは、大事なことである。
・労働基準法という法律に違反している会社を訴訟した。