「契約社員」「正社員」の違い・概要
いずれも大きく「会社員」に相当する労働形態です。企業側と雇用契約を結び、内容にしたがって給料をもらう職業なのは変わりません。ただし、契約社員には雇用期間に制限があります。「1年」「5年」といった期間が満了すると、契約社員は更新するかどうかを問われます。あるいは、更新がなされずに「契約満了」となることも珍しくありません。それに対して、正社員は終身雇用を前提とした形態です。定年退職を迎えたり、何らかの違反を犯さない限り、本人の希望以外で辞めることはありません。なお、正社員とは「正規雇用契約を結んでいる社員」という意味です。「契約社員」「正社員」の意味・読み方は?
契約社員は「けいやくしゃいん」と読みます。契約社員は「雇用契約により、労働期間を定められている社員」という意味です。契約社員は最初に、企業との取り決めで労働期間を定められます。そして、期間が満了したら退職し、別の職場を探します。契約社員は特定のスキル、経験を求められることも多いので、専門的な能力を生かしたい人には向いているでしょう。なお、契約社員は期間が満了しても、企業側から遺留されることもあります。あるいは、働きが高く評価されて正社員になるケースも珍しくありません。一方、正社員は「せいしゃいん」と読みます。契約社員が有期雇用であるのに対し、正社員は原則的に無期雇用がなされている立場です。長期的にキャリアを築くのが正社員の特徴であり、重要な役職を優先的に任されます。そのため、契約社員の上司が正社員であることは一般的です。また、責任重大なプロジェクトについても、正社員は優先的に任命される傾向が顕著です。多くの企業で、正社員は契約社員やアルバイト、パートよりも厚い待遇を受けられます。
「契約社員」「正社員」の使い方、使い分けは?
両者を使い分ける際、最大のポイントになるのは「雇用形態」です。もしも契約期間に制限があるなら「契約社員」と呼べます。一方、契約期間に満了がなく、定年まで働けるシステムになっているなら正社員と呼べるでしょう。なお、「ボーナスや退職金があるのは正社員」という考え方もあるものの、これは一概に断定できません。なぜなら、ボーナスや退職金は企業の義務ではないからです。逆をいえば、契約社員にもボーナスや退職金が用意されている企業はあります。そのかわり、退職金やボーナスは企業への貢献を踏まえて決められるので、正社員は契約社員よりもこれらの額が高くなりやすいとはいえます。次に、「労働時間の長さ」でも、契約社員と正社員には違いが出てくるでしょう。契約社員は正社員と比べると、責任の小さい立場です。そのため、繁忙期であっても残業や休日出勤をせずに済むことは少なくありません。それに比べて、正社員は企業の中心となり、仕事をこなしていくポジションです。繁忙期でも人に作業を任せられるわけではないので、労働条件が過酷になることもありえます。自分のペースで働けるのが契約社員なら、企業の忙しさに左右されやすいのは正社員だといえるでしょう。
そのほか、契約の「更新」を尋ねられるかどうかでも、契約社員と正社員という言葉は使い分けなくてはなりません。契約社員は労働期間の満了が近づけば、更新するかどうかの話し合いがもたれます。あるいは、企業側から「もう更新はしない」と通達されてしまうケースもあるでしょう。それに比べ、正社員にはこのような話し合いがありません。企業に在籍している限り、「雇用契約は続いている」とみなされます。労働条件や役職が変わることはあるものの、「更新」とは呼びません。「昇進」「昇級」などと呼ぶのが普通です。
「契約社員」「正社員」の用例・例文
以下、契約社員という言葉を使った例文です。「契約社員として働きながら、土日は資格の勉強も続けている」
「ようやく契約社員として、憧れのデザイン業に就くことができた」
「このまま契約社員の働き方を選ぶのか、決断の時期が近づいてきた」
契約社員は本人の労働形態を表すだけの言葉なので、使用する際の注意は特にありません。ただし、労働形態を明かす必要がない場所でわざわざ「契約社員」と記すのは、揶揄していると捉えられる恐れがあります。次に、正社員を使った例文を挙げていきます。
「アルバイトリーダーと正社員の間で話し合いが行われた」
「この会社では正社員を募集している」
「正社員の研修として、ボードゲームを使ってみるのはどうか」
そのほか、正社員は「責任が重大な立場」というニュアンスを込められることも少なくありません。たとえば、
「正社員なのだからしっかりしてくれ」
「正社員なら多少の忙しさは我慢しないと」
「正社員になって、はりきっている」
といった用例です。