2022年1月24日月曜日

フリーランスと個人事業主の違い

現代社会ではライフスタイルの多様化に伴って、働き方についても個人の事情を尊重する機運が高まっています。中には既に「フリーランス」や「個人事業主」として働いている人も居るでしょう。フリーランスと個人事業主はどちらも似たような意味合いを持っているため、厳密な違いは意識されない場面もあります。しかし両者には明確な違いがあるのも事実なので、適切に使い分けられるように理解を深めておきましょう。

「フリーランス」「個人事業主」の違い・概要

「フリーランス」と「個人事業主」の定義には共通している点と大きく異なっている点が混在しています。共通点は「企業などに所属せずに仕事をする」という事であり、広義では個人事業主もフリーランスに含まれているのです。一方、フリーランスという言葉が「働き方」を指し示すものであるのに対して、個人事業主は「税務上における区分」であるという違いがあります。共通点がフォーカスされがちですが、根本的な定義付けが異なる点には注意が必要です。

「フリーランス」「個人事業主」の意味・読み方は?

フリーランスとは「特定の企業・組織・団体に所属せず、クライアント・顧客からの要請に応じて専門知識やスキルを提供する事で収入を得る働き方」を意味しています。この定義に当てはまっているワークスタイル全般が含意されているため、一口にフリーランスと言っても個人事業主・一般的な個人・法人など様々なパターンがあるので留意しましょう。フリーランスは自宅を職場とする人が多いため、デザイナー・イラストレーター・プログラマーといった個人裁量のウェイトが高い職種が多く見受けられます。現場での撮影が基本となるカメラマンや、クライアントの下まで出張する機会の多いコンサルタントもフリーランスとしての働き方が人気の職種です。

個人事業主は「こじんじぎょうぬし」と読み、「個人」「事業」「主」に分けて考える事が出来ます。字面としての意味は「社会的な集団に属さず事業を営なむ人」といった具合になるでしょう。個人事業主において重要なのは「税務署に開業届を提出している」という点です。個人事業主は税法上の区分として処理されるため、各種控除が受けられる青色確定申告が利用出来るようになります。なお、「事業」は税法において「継続・反復・独立して行う仕事」と定義付けされているので併せて覚えておきましょう。

「フリーランス」「個人事業主」の使い方、使い分けは?

フリーランスには「顧客やクライアントから仕事を請け負う」という意味が含まれています。動画編集やイラストレーターといったクリエイティブ系のフリーランスを思い浮かべると、取り引きの流れがイメージしやすいでしょう。一方、個人事業主は「働き方」ではなくあくまで「税法上での区分」を示す言葉です。そのためフリーランスのように顧客やクライアントとの関係性は含意されていません。例えば個人事業主として経営している雑貨店は、顧客やクライアントから「仕事を請け負っている」とは捉えられないでしょう。この場合は仕入れた商品や製作物を顧客に販売するというプロセスになるため、フリーランスには該当しません。個人事業主はフリーランスの一部ですが、すべての個人事業主がフリーランスと呼べる訳ではないのです。

また、フリーランスと個人事業主ではそれぞれに意味が異なるため、個々人が自分のワークスタイルや事情に合わせて使い分けるというのが一般的です。例えばフリーランスには「比較的時間を自由に使う事が出来る」「勤務地に制限がない」「会社に縛られないため、取り引き先の幅が広がる」といったメリットが挙げられます。子育てや介護などで出社が難しく、働ける時間帯に制限がある人がフリーランスとして働くケースは少なくありません。また、クリエイティブ系の職種では自分の作風の幅を広げたい、活動範囲を広げたいといった理由で会社から独立してフリーランスになる人も多いです。

対して、個人事業主の主なメリットには「青色確定申告が可能になる」「屋号の銀行口座が持てる」などがあります。青色確定申告は所定の条件を満たす事で税制面での優遇を受けられるため、会社に縛られず効果的に節税しながら働きたいという人が利用するのが一般的です。また、商業上の名前である屋号で銀行開設しておくと、プライベートと事業でお金の管理・区別がしやすくなります。総じて個人事業主は「会社に縛られない事」よりも「お金の管理・工面」を重視する人が多いと言えるでしょう。

「フリーランス」「個人事業主」の用例・例文

フリーランスは「働き方」を意味する言葉であるため、独立を考えるクリエーターとの会話や比較的カジュアルな書面での用例が多いと言えます。例えば「来年は会社を辞めてフリーランスとして活動しようと思うよ」「次の中から職業を選択してください。なお、フリーランスの方はその他の欄に○を付けてください」といった具合です。個人事業主は税法で認められているカテゴリーなので、やや固めの文章や税金関係の会話の中でよく用いられます。例文としては「当調査における事業者数には個人事業主は含まない」「個人事業主だから毎年の確定申告が大変だよ」などが挙げられるでしょう。