2022年3月22日火曜日

《食べる》の敬語

「食べる」の敬語表現

「食べる」の尊敬語は「召し上がる」「お食べになる」「食べられる」などです。「食べる」の謙譲語は「いただく」となります。また、丁寧語は「食べます」「食べました」などとなります。

「食べる」の最上級の敬語

「お召し上がりになる」は二重敬語ですが、広く使われて定着している尊敬語です。宮内庁による新嘗祭の説明の中でも「天皇陛下が、…陛下自らもお召し上がりになる祭典」と説明しているように、天皇陛下をはじめとする皇族方が食べ物を召し上がる場面で使用されています。

また過去には「参る」「奉る」「召す」「きこしめす」が皇族や貴族の食べる動作に対し使われていて、『古事記』や『竹取物語』などにも説明が残されています。これらの言葉は明治期以降も文書などで使われてきましたが、現代では使われていません。

「食べる」の敬語を使ったビジネスメール・手紙の例文

#「食べる」の尊敬語を使った例文
件名:夏期休暇の御礼

○○部の皆様

お疲れ様です。○○部の△△です。

このたびは夏期休暇をいただき、誠にありがとうございました。
夏期休暇中はお忙しい中、担当業務を代わるなどのご配慮をいただき、感謝申し上げます。
感謝の気持ちとして少しばかりですがお土産のお菓子をお届けいたします。ぜひ召し上がってください。

本日より気持ちも新たに、お仕事に励んでいく所存です。
まずは、取り急ぎメールで御礼申し上げます。

署名

#「食べる」の謙譲語を使ったビジネスメールの例文(取引先へのお礼)
件名:お土産の御礼

○○株式会社代表取締役△△様

平素よりお世話になっております。株式会社○△の△○です。
本日はお忙しい中、弊社まで起こしくださりありがとうございます。

またお土産まで頂戴して、△△様の温かい心遣いに感謝しております。
頂戴したクッキーはさっそく課の皆でおいしくいただきました。

今後とも代わらぬご厚誼を賜りますようよろしくお願い申し上げます。

署名

#「食べる」の尊敬語を使った手紙の例文
暑い日が続いていますが、お変わりなくお過ごしのことと思います。
先日、夏休みを利用して子どもと帰省してまいりました。
その際、地元で人気のある和菓子店に立ち寄りました。
○○様が和菓子がお好きだと伺っていたのでささやかですが、よろしければ召し上がってください。
またお会いできる日を楽しみにしております。

#「食べる」の謙譲語を使った手紙の例文
秋風が身にしみる頃となりましたが、お元気でご活躍のことと存じます。
先日は心温まるお土産を頂戴し、ありがとうございました。
季節の移り変わりを感じながら、家族みんなでおいしくいただきました。
これからさらに寒くなると思いますので、どうかご自愛くださいませ。
末筆ではありますが、まずは御礼申し上げます。

「食べる」を上司に伝える際の敬語表現

「食べる」の尊敬語を用いて上司に対して何かを伝える際には「召し上がる」を使うのが一般的です。例えば「ぜひ、召し上がってください」「お酒を召し上がると聞いたので」というように使います。「お食べになる」は敬語表現としては合っていますが、「召し上がる」のほうがよく使用されています。「食べられる」は可能や受身の意味を持っているため、言葉の意味が正確に伝わらないおそれがあります。

上司から食べ物をもらったときには、謙譲語である「いただく」を使います。例えば「先日いただいた○○がとてもおいしかったです」というように使います。「昨日は何を食べましたか?」と問われたときには「昨日はハンバーグを食べました」というように丁寧語を用います。

「食べる」の敬語の誤用表現と注意事項

#目の前の人と関係ないものを食べたときは「食べました」を使う
「昨日は何を食べましたか?」と聞かれたときに「昨日はハンバーグをいただきました」というのは間違いです。目の前にいる相手と関係のないものを「食べた」というときは、謙譲語ではなく丁寧語を使用します。なお、食事の前に「いただきます」というのは、食材に感謝を述べているため、間違いではありません。

#三重敬語は間違い/二重敬語は気にする人もいる
「お召し上がりになられました」は、「お……になる」と「召し上がる」「られる」と、3つの敬語が混在しているため、誤用です。「お召し上がりになる」や「お召し上がりください」は一般的に定着した二重敬語で、間違いとまでは言いにくいのですが、中には二重敬語であることを注意する方もいます。そのためビジネスや公の場面では使わず、「召し上がる」あるいは「召し上がってください」を使うのが無難です。

「食べる」の敬語の言い換え表現

「食べる」の尊敬語の言い換え表現は「おあがりになる」「お食事になさる」「おつまみになる」などがあります。また、おかゆや汁物に対して「おすすりになる」を、食事を残すことに対して「お残しになる」と言うこともあります。

「食べる」の謙譲語の代表的な言い換え表現は「ごちそうになる」です。食事の後に使う「ごちそうさまでした」は食材に対する敬意を示した謙譲語です。食事に呼んでもらうことに対しては「お招きいただく」などと言い換えることができます。地域によっては食事に招いてもらうことを「呼ばれる」と表現するところもあります。