「送る」の敬語表現
「送る」の敬語表現のうち、尊敬語は「お送りになる」「送られる」です。自分よりも立場が上の人や目上の人に対して使用し、自分に対しては使用しません。「送る」の謙譲語は、「送らせていただく」「お送りいたします」「お送りする」です。これらの言葉は自分の立場を下げることによって、相手を高める言葉ですので、正しく使用するとより謙虚に見え、相手方に好印象を与えることが出来ます。「送る」の丁寧語は「送ります」となります。どのような立場の人にでも使用できますので、謙譲語を使う場面なのか、尊敬語を使う場面なのか分からない場合は、この言葉を使うとよいでしょう。ただし、丁寧語である「送ります」は尊敬語に比べて、相手に対する敬意は薄まります。従って、どのような場面で尊敬語や謙譲語を使うべきかは、早めに修得しておきましょう。「送る」の敬語の最上級の表現
「送る」の敬語の最上級表現として「お送りいただく」と「お送りくださる」があります。「お送りいただく」は「送ってもらう」という意味があり、敬語表現としては謙譲語にあたります。通常の謙譲語を使用する時よりも、相手の「送る」という行為に感謝の気持ちをより強く表した表現となります。一方「お送りくださる」には「送ってくれる」という意味があり、敬語表現としては尊敬語にあたります。この「お送りくださる」も通常の尊敬語を使用する時よりも、感謝の気持ちをより強く表した表現となります。「送る」の敬語のビジネスメール・手紙での例文
「送る」の尊敬語をビジネスメール・手紙で使用する際の例文は次のようになります。「この度は、たいそう高価な品物をお送りくださって誠にありがとうございます。」「お送りになる前に添付書類が同封されているか、チェックシートでご確認ください。」「先日は、駅までお送りくださり、誠にありがとうございました。」「お忙しいところ、大変恐縮ではございますが、下記書類を〇月〇日までにお送りくださるようお願い申し上げます。」「昨日お送りくださった書類ですが、有効期限が切れておりますので、再度有効期限内のものをお送りください。」一方「送る」の謙譲語をビジネスメール・手紙で使用する際の例文は次のようになります。「先日、お送りいただいた書類に記入漏れがございましたので、ご連絡差し上げました。」「お送りいただいた商品ですが、調査したところ、ご指摘のとおりの欠陥がございましたので、本日返金の手続きをさせていただきます。」「本日、資料を送らせていただきました。3日以内に資料がお手元に届かない場合は、ご一報ください。」「本日、お送りする書類は以下の通りです。」「セミナー終了後、ご希望の方は最寄りの駅までお送りしますので、受付時に係の者にお伝えください。」「お送りした書類は、一度紛失されますと再発行できませんので、大切に保管してください。」「返品をご希望の場合は、商品を当社にお送りいただくようお願いします。なお送料はお客様負担となります。」「突然メールをお送りする無礼をお許しください。」「日ごろからお世話になっている感謝の気持ちとして、粗品をお送りしました。」「先日、ご注文の品とは違う商品をお送りしましたことを、お詫び申し上げます。」
「送る」を上司に伝える際の敬語表現
「送る」を上司に伝える際の敬語表現は、状況に応じて尊敬語・謙譲語・丁寧語を使用する必要があります。上司よりも立場が上の人が「送る」という行為をしたことを上司に伝える場合は、尊敬語である「お送りになる」「送られる」を使用することになります。一方自分自身が「送る」という行為をしたことを上司に伝える場合は、謙譲語である「送らせていただく」「お送りする」「お送りいたします」や、丁寧語の「送ります」を使用することになります。「送る」の敬語での誤用表現・注意事項
「送る」の敬語表現として「お送りいたします。」という言葉があります。この言葉自体は謙譲語+丁重語+丁寧語となっており、正しい使用方法ですが、「お送り致します。」と漢字表記することは誤りです。「いたす」という言葉には、補助動詞として使用する場合は平仮名、動詞として使用する時は漢字表記とするというルールがあります。「お送りいたします。」の「いたす」は補助動詞として使用されているため、平仮名で表記することになります。また「送らせていただきます」とするところ「送らさせていただきます」と表現することも誤用です。「送らさせていただきます」は典型的な「さ入れ言葉」です。「さ入れ言葉」は「送る」のような五段活用(動詞を未然形にして「ない」を加えると、「ない」の直前の母音がア段の音となる活用形)の動詞と「する」の間に「さ」を入れることをいい、文法上誤りとされています。