「してください」の敬語表現
「してください」という表現も丁寧な表現ではあります。会話や電話などであれば使ってもあまり問題ないですが、より丁寧な表現が求められるビジネスメールなどには向いていません。
「してください」と目上の人に伝える場合、「なさってください」という表現があります。この表現は「してください」よりも丁寧な印象を与えてくれます。また、「してください」に「ます」を加えて「してくださいませ」などもよく使われる敬語表現です。ただしこの表現は女性言葉として扱われることが多いため、男性が使う機会は多くありません。
その他にも何か相手に依頼する場合、「していただけませんか」など相手に投げかける表現もあります。「してください」と言うよりも相手の都合に合わせることが強調されます。
これらは目上の人との会話はもちろん、メールや手紙などでも用いることが出来る表現です。
「してください」の敬語の最上級の表現
「なさってください」や「してくださいませ」は最上級の敬語表現ですので、立場が大きく離れた目上の人にも使うことができます。使い方が変わることもありません。
もしも何かを依頼する場合も「していただけませんか」という表現を使います。より敬意を表現したい場合は、その後に「よろしくお願いします」などとお願いの言葉を一言添えるとよいでしょう。
「してください」の敬語のビジネスメール・手紙での例文
ビジネスメールなどで「してください」と伝える場合の多くが相手に頼み事をするときです。例えば上司にメールで「添付した書類を確認してください」ということを伝えたいとき、「添付した書類を確認していただけませんか」と表現します。「してください」でも文法的には適切な表現と言えますが、何かをお願いするときは相手のことを配慮していることを強調する表現の方が適切です。
依頼のメール以外で「してください」というときは相手の体調に気を遣う場合などがあります。この場合は相手に投げかける表現ではなく「どうぞお大事になさってください」などの表現がよいでしょう。
「してください」を上司に伝える際の敬語表現
上司との関係性によって適切な表現は異なります。上司との立場があまり変わらなかったり、親しい間柄であったりする場合は「なさってください」などと言うと堅苦しいかもしれません。そういった場合は「してください」と伝える方がよいときもあります。反対に立場が大きく離れていたり、親しくなかったりすると「してください」という表現はフランクな印象を与えてしまいます。そういった人には「なさってください」や「していただけませんか」など、より丁寧な表現を用いることが求められます。
メールや手紙などでは丁寧な表現の方が自然なので、どのような関係性の上司でも丁寧な「なさってください」などの表現を使いましょう。
相手との関係性や場面によって使い分けられるようにしておくと、ビジネスシーンでのコミュニケーションで役立ちます。
「してください」の敬語での誤用表現・注意事項
「してください」という表現でよくある誤用表現は2つあります。
1つ目は「されてください」です。例えば「この書類を確認されてください」という表現は間違っています。「ご確認ください」か「確認なさってください」が正しい使い方です。
2つ目は「御～してください」という表現です。「伝票をご確認してください」などと言ってはいけません。「御」は接頭辞として用いられ「ご」や「お」などと読みます。敬語をつくるものですが「御」と「してください」を同時に使うのは誤った表現です。「ご確認ください」「お伝えください」のように「御～ください」が正しい使い方です。
この2つは適切、不適切という問題ではなく文法的に誤った表現です。どれだけ相手に敬意を払っていても敬語を間違えてしまうと相手に伝わりません。不快な思いをさせてしまうこともあります。ビジネスシーンでは敬語は一般常識として扱われるので、正しく使えないと恥ずかしい思いをするかもしれません。正しく使えるように注意しましょう。
また、「してください」の敬語には「～いただけませんでしょうか」という表現もあります。この表現は正しい表現で、より丁寧な敬語なので使っても問題ありません。どのような立場の上司に対しても使えるのでとても便利なのですが、二重敬語（誤った敬語表現の1つ）だと勘違いしている人も多く、中には不快に感じる人もいるため使用しない方が無難です。できる限り違う表現で言い換えましょう。
「してください」の敬語での言い換え表現
「してください」には様々な言い換えがあります。代表的な例として「～いただければ幸いです」「～いただければと存じます」「～いただきますようお願い申し上げます」などが挙げられます。どれも使う場面や使い方に違いはありません。メールや手紙にも用いることができます。
特に「～いただければ幸いです」は相手の都合に配慮する表現であると同時に「～をしてくれたら、非常にうれしいです」という自分のへりくだった気持ちを添えることが出来るため、他の表現に比べて相手に強い敬意を表すことができる表現です。大切な用件などを伝える際によく使います。
